【過労死等ゼロに】健康的に働ける職場環境づくりのために企業ができること

こんにちは!ふじもと社会保険労務士事務所です。
新年度が始まりましたね。この時期に職場環境の見直しをされている企業様も多いのではないでしょうか。
その中でも、従業員が健康で安全に働ける環境づくりは、企業に求められる重要な責務の一つです。
企業には、従業員が健康に働ける環境を整える「安全配慮義務」があります。
今回はその観点から、過労死等防止の取り組みについて分かりやすく解説します。


【過労死等ゼロに】健康的に働ける職場環境づくりのために企業ができること

企業には、従業員が安心して働ける環境を整える「安全配慮義務」があります。
これは単なる努力目標ではなく、法律上求められている大切な責務のひとつです。
過労死等を防ぐ取り組みは、この安全配慮義務を果たすうえで欠かせないものであり、従業員が長く働き続けられる職場づくりの土台ともいえます。
過労死等の現状については、国が毎年公表している「過労死等防止対策白書」に詳しくまとめられています。白書では、労災請求の状況や傾向、企業の取り組み状況などが整理されており、現場での課題を知るうえでも参考になります。
この記事では、白書の内容をふまえながら、企業として意識しておきたい過労死等対策のポイントについて整理していきます。


過労死等とは

「過労死等」とは、法律において次のようなケースが含まれるとされています。
・業務による強い負担が原因となった脳血管疾患
・心臓疾患による死亡
・強い心理的負荷による精神障害を原因とした自殺
・死亡には至らないものの、これらの脳・心臓疾患や精神障害の発症
特に、長時間労働などによる慢性的な疲労の蓄積は、脳や心臓の病気の発症リスクを高めると考えられています。
そのため企業には、労働時間の適切な管理や休息の確保といった基本的な対策が求められています。

脳・心臓疾患および精神障害に関する労災請求の状況

過労死等防止対策白書では、労災請求件数の推移も公表されています。
▷脳・心臓疾患に関する請求件数について
脳・心臓疾患による労災請求件数は、いったん減少した時期もありましたが、近年は再び増加傾向が見られています。死亡に至るケースについては長期的には減少または横ばいの傾向が見られるものの、ここ数年は増加の動きもあり、引き続き注意が必要な状況です。

精神障害に関する請求件数

精神障害に関する労災請求件数は、長期的に見ても増加傾向が続いています。特に近年は、精神的な負担に関する認定基準の見直しが行われ、カスタマーハラスメントが評価対象に追加されたことなども影響し、請求件数の増加につながっていると考えられています。
働く人の心の健康への配慮は、これまで以上に重要になっているといえるでしょう。

過労死等を防ぐために企業が取り組みたいこと

過労死等を防ぐためには、まず日々の労働時間を正しく把握することが大切です。
そのうえで、職場全体として働き方を見直し、安心して働ける環境を整えていくことが求められます。
ここでは、企業として取り組んでおきたい主なポイントをご紹介します。

労働時間の適切な管理

長時間労働を防ぐためには、実際の労働時間を正確に把握することが出発点になります。
あわせて、36協定の内容を社内でしっかり共有することや、長時間労働につながりやすい業務の進め方や取引の慣行を見直すことも重要です。
日常の働き方を少しずつ整えていくことが、過重労働の防止につながります。

過重労働による健康障害の予防

長時間の時間外・休日労働が続くと、脳や心臓の病気の発症リスクが高まるとされています。特に、時間外・休日労働が月100時間を超える場合や、複数月平均で月80時間を超える場合には、健康への影響との関連性が強いと考えられています。
こうした目安を参考にしながら、無理のない働き方を支える労務管理を行うことが大切です。 

働き方そのものの見直し

長時間労働の是正には、制度面の整備も大きな役割を果たします。
例えば
・仕事と生活のバランスを意識した職場づくり
・年次有給休暇を計画的に取得できる環境づくり
・勤務と勤務の間に十分な休息時間を確保する取り組み(勤務間インターバル)
・テレワークなど柔軟な働き方の活用
といった取り組みは、働きやすさの向上につながります。

メンタルヘルスへの配慮

心の健康を守るためには、相談しやすい雰囲気づくりと体制整備の両方が大切です。
社内の相談体制を整えることや、ストレスチェックの実施などを通じて、不調のサインを早めに把握できる環境づくりが求められます。
また、相談窓口の設置や対応方法を就業規則・各種規程に明確に定めておくことは、安心して相談できる職場づくりの土台となります。

ハラスメントを見過ごさない職場づくり

ハラスメント対策は、予防だけでなく、早期発見・対応・再発防止までを含めて継続的に取り組むことが重要です。就業規則やハラスメント防止規程において相談窓口や対応手順、禁止行為の内容を明確にしておくことは、適切な対応を行うための重要なポイントです。
また、相談したことを理由として不利益な取扱いを受けることがないようにすることや、相談内容のプライバシーを守ることは、企業に求められている大切な対応です。
本人だけでなく、周囲の人も「気づいたときに声をかける」姿勢を共有することで、安心して働ける職場づくりにつながります。

相談しやすい環境を整えること

体調や気持ちの変化に早く気づき、必要な支援につなげるためには、日頃から相談しやすい職場づくりが欠かせません。
例えば
「疲れが取れない」
「眠れない」
「集中できない」
といった変化に気づいたときには、上司や同僚、家族、医療機関などへ早めに相談することが大切です。
また、周囲の人が変化に気づいたときに声をかけ、産業医や保健スタッフなどの専門職につなぐことも、早期対応につながります。
こうした取り組みは特別なものではなく、従業員が安心して働き続けるための大切な土台になります。
できるところから少しずつ整えていくことが、健康的な職場環境づくりにつながっていきます。

おわりに

過労死等の防止は、安全配慮義務を果たすうえで非常に重要なテーマです。
白書の統計からも、脳・心臓疾患に関する請求件数は依然として一定数存在し、精神障害に関する事案は増加傾向にあることが分かっています。
こうした状況を踏まえると、企業として早い段階から働き方や職場環境を見直していくことが大切です。従業員が安心して働き続けられる環境を整えることは、企業の持続的な成長にもつながります。
できることから少しずつ取り組みを進めていきましょう。

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